五苓散は水分を摂取したがるが多くを飲むと吐く状態にいいお薬です
子どもなんかよくありますよね
子供が吐いた後は,御猪口一杯ずつお水をのませます
五苓散は水毒(体の水分がアンバランスな状態をしめすこと)のお薬です
脈が浮で小便が少なく,微熱があり,のどが渇くの時のお薬です
心臓の収縮能は保たれているが後負荷の相当する血管内の水分量が少なく,尿量がへって,微熱があり,喉が渇くときに使用します
汗が出たあとで脈が浮でいらいらしてのどの渇きがあるものにもいいです
消化器疾患やむくみでよく使われますが,元はといえば感染症の経過中に使うことが想定されています
発熱 下痢 脱水・・・・サルモネラ(腸チフス)やシゲラ(細菌性赤痢)などの命にかかわる感染症の薬だったのでしょう
病原体がわからなくても昔の人はそれに対抗する手立てを見つけていたのです
上下水道などの公衆衛生が未発達な時代,五苓散は重要処方であったことが想像されます
五苓散はチョウレイ 白朮 タクシャ 茯苓 桂枝からなる処方です
味は爽やかな甘みがあります
チョウレイ タクシャ 茯苓の甘味の奥に白朮の苦みがあります
複雑な甘みです
口内炎ができて,むくんだ感じがして,頭が重いとき,ブラックコーヒーとともに飲むと「おいしい」と感じます
傷寒論では発熱など感染症初期には発汗が重要と考えられています
発汗後,水をほしがったときは五苓散を白湯で飲むといいとされていました
五苓散の但し書きに,口喝・嘔吐・下痢であっても熱によるものは五苓散であり,寒によるものは人参湯であるとされています
このあたりの見極めは大切なのでしょうが・・・・体温計だけでは測れない「熱」と「寒」の見分けには修行が必要です
便培養・カロナール・ナウゼリン座薬・ロペミンで片が付くとはいえ,人体理解・疾患理解・東洋医学パラダイム理解のために持っていたい視点です