副腎機能低下があり,少量ながら長期にわたりステロイド内服を継続されている方です。皮膚の萎縮・乾燥が顕著で、強い掻痒感が持続しており、生活の質に影響を及ぼしています。

皮膚生検やいくつかの血液検査を行った上で,
現在,古典的治療に加え、IL-4/IL-13阻害剤による皮下注射療法を併用していますが,症状のコントロールは不十分です。注射は在宅にて継続されており,患者様の生活状況に配慮した形で運用されています。
基礎疾患や外見的な印象からも、全身状態は「虚弱」の範疇にあり,慎重な治療選択が求められる状況です。5年以上にわたり継続的に診療を行っており、信頼関係のもとで治療方針を模索しています。
注射薬の変更も検討しましたが、現在使用中の製剤は薬効・副作用の少なさ・デバイスの操作性などの点で優れており,代替薬の選択肢が乏しいため、変更には至っていません。
内服の免疫抑制剤については、患者様の全身状態を鑑みると導入にはリスクが高く、現時点では見送っています。
このような経緯で漢方薬を導入しました。

ひどく寒がりであること。
夏場は比較的鱗屑紅斑がへり落ち着かれること。
寒がりなので真武湯などの附子製剤を考えました。
補気剤で元気をだしてもらい間接的に皮膚症状を改善することも考えました。
最終的には「血」を補うことにしました。
皮膚の萎縮鱗屑乾燥紅斑を血虚 血燥と判断してトウキインシを選択しました。
処方はトウキ ジオウ シャクヤク センキュウ ボウフウ オウギ ケイガイ カンゾウ シツリツ カシュウです。
甘草3となるのでカリウムをチェックしなければなりません。
四物湯の加法ですから四物湯の体を温める効果と甘草の抗炎症効果が合わさってきいてくれるといいなと思います。
皆さんは虚弱なお年寄りさんが体をかゆがったときどんな提案をされますか。よかったら教えてください。

